画溶液の主な種類と効果
油絵具の持ち味を発揮させるのが「画用液」です。画溶液の選び方や使い方次第で、作品の仕上がりが大きく違ってきます。溶き油、ワニス、乾燥剤、洗浄剤などがあります。種類が多く迷ってしまいますが、油絵具は成分を細かく分けてあり、表現に応じてきめ細かく使い分けができるようになっているのです。
画用液の種類
溶き油
乾性油
絵具の伸びや、のりをよくし、堅牢にします。描きはじめは揮発性油で多めに薄め、描き進むにつれて、乾性油の割合を増やしていきます。
揮発性油(溶剤)
油絵具の希釈剤・溶剤です。描きはじめのおつゆ描きに使ったり、乾性油やワニスの粘りを調整します。
調合溶き油
乾性油と揮発性油を調合したもの。描きはじめから仕上げまで使えるので、初心者におすすめです。描きはじめにもっと柔らかくしたいときは揮発性油を加えます。
樹脂溶液
絵具に光沢と絵具ののりのよさを与えます。
乾燥促進剤
油絵具の乾燥を早め、色による乾燥時間の差を整えます。
ワニス(バーニッシュ)
描画用
絵具に混ぜて、光沢を調整します。
加筆用
絵具とは混ぜず、完成後、完全乾燥した作品の加筆に使います。
画面修正用
制作の途中で画面全体の光沢を調整します。
画面保護
完成後に作品を保護します。
洗浄剤・剥離剤
筆やパレットの油絵具を除去します。
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クサカベ画用液の種類
溶き油
乾性油の主な種類と効果
リンシードオイル
乾燥後の塗膜は強固で、少し黄変しますが理想的な植物性油です。下描き時には揮発性油を多めにし、仕上げ時は揮発性油は少なめにします。
ポピーオイル
乾燥はやや遅く、被膜はやや弱くなります。乾燥後の黄変が少ないので、白や淡い色に使用できます。
スタンドオイル
リンシード の黄変も無くドロッとした粘りが油の厚みを出し、透明性と輝きを画面に与えます。乾燥後はサンシックンドオイル類と同じように筆目を消し、強靭な塗膜を作ります。
揮発性油の主な種類と効果
絵具に加えると柔らかくなり、展色性がよくなります。
テレピン
油絵具、画溶液の薄め液。画用液の濃度や流動性の調整に使います。
ペトロール
ターペンタインと よく似ていますが黄ばみのが心配なく、匂いが弱いので使いやすい溶き油です。植物性溶き油やワニス類の薄め液として お使いください。
ラベンダーオイル
ターペンタインに比べ揮発が遅く、溶解力は強い性能があります。ボカシを生かした手法に適し、強い芳香を放ちます。
調合溶き油の主な種類と効果
ネオペインティング
オイル
バランスのいい配合の「調合溶き油」です。黄ばみも少なく油絵具の溶き油として万人向けで、光沢・乾燥とも穏やかです。
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樹脂類
天然樹脂(光沢を出します。)
樹脂溶液(光沢を出します。)
ダンマルバニス
伝統的な樹脂溶液で、絵具に光沢と絵具ののりのよさを与える。各種ニス、テンペラ技法用画溶液の処方に利用。
マスチックバニス
ダンマルと同様の使用目的であるが、絵具にのびのよさを与えるので、細密描写に有効。光沢はややソフト。
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乾燥促進剤
ホワイトシッカチーフ
油絵具に混ぜて、乾燥を早めるための添加剤。本剤は無色で作用が穏やか。シワよりの心配が少ない。
ブラウンシッカチーフ
強力な乾燥促進剤。液の色が褐色で、シワより等の副作用の危険もあるが、適切な使用法をすれば効果絶大。
超速乾メディウム
油絵具に直接混ぜて乾燥を大幅に短縮させる強力なメディウムです。
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ワニスの主な種類と効果
描画用ワニス(絵具に混ぜて光沢を出します。)
パンドル
つやをもたらし、透明性、粘り、乾燥を速め、絵具ののりをよくする。
グレージングバニス
透明性に優れたベニチアテレピンの導入で、グラッシに適した描画用ニスとなった。そのまま使えます。
加筆用ワニス(完全乾燥後に加筆したいときに使います。)
ルツーセ
ダンマル樹脂をテレピンで溶解したものです。乾いた画面に加筆する際、描きたての光沢を復元し、絵具の付きをよくします。
画面保護用ワニス(完成後に画面保護のために使います。)
タブロー
天然ダンマルをテレピンで溶解したワニス。作品完成後6〜12ヶ月後、油絵具が完全乾燥してから柔らかい毛の筆で均一に薄く塗ってください。
タブロー
スペシャル
指触乾燥段階で塗布できる仕上げニス。温和な光沢で、タブローより保護効果は弱い。
クリスタルバニス
タブローと同じ使用法ですが、より安定した物性を有しています。樹脂溶液としての多様な利用法もあります。
グロッシーバニス
仕上げ用ニスとして、光沢効果が得られます。塗膜は強じんですが除去は困難です。
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剥離剤・クリーナーの主な種類と効果
筆洗液・クリーナー
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ホルベイン画用液の種類
溶き油
乾性油の主な種類と効果
リンシードオイル
乾燥後の塗膜は強固で、少し黄変しますが理想的な植物性油です。下描き時には揮発性油を多めにし、仕上げ時は揮発性油は少なめにします。
ポピーオイル
乾燥はやや遅く、被膜はやや弱くなります。乾燥後の黄変が少ないので、白や淡い色に使用できます。
サンシックンドポピーオイル
蜂蜜状のため筆のタッチが消え、フラットな画面になります。 乾燥が早いので速乾性の油として利用でき、乾燥後の光沢がよいので描画用ワニスとしても使用できます。
スタンド
リンシードオイル
リンシード の黄変も無くドロッとした粘りが油の厚みを出し、透明性と輝きを画面に与えます。乾燥後はサンシックンドオイル類と同じように筆目を消し、柔軟性のある塗 膜を作ります。
揮発性油の主な種類と効果
ペトロール
テレピン同様の薄め液。テレピンよりやや穏やかに蒸発する。溶解力もやや穏やか。
アルファピネン
テレピンをさらにピュア精製したもので、揮発性・溶解力(樹脂等を溶かす力)共に、さらに高くなっています。
調合溶き油の主な種類と効果
ルソルバン
ポピーオイルにペトロールとシッカチフを加え、その上に合成樹脂を混合した「調合溶き油」。油絵制作の基本です。
スペシャルルソルバン
ルソルバンの合成樹脂を天然ダンマル樹脂にした「高級調合溶き油」。乾燥が速く、香りがよくなります。
ペンチングオイル
リンシードオイルを使用した「調合溶き油」です。黄ばみも少なく油絵具の溶き油として初心者にも仕える一般的な調合溶き油です。
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乾燥促進剤の主な種類と効果
シッカチフブラン
鉛乾燥剤(鉛塩)を用いた油絵具乾燥促進剤。
液の色が淡いので白や淡色に使用できます。シッカチフは使用量に制限があります。
シッカチフクルトレ
コバルト、マンガン、鉛の乾燥剤3種を用いた強力な油絵具乾燥促進剤。液の色が褐色をしているので.白や淡色には向きません。
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つや出しバーニッシュ(ワニス)の主な種類と効果
描画用バーニッシュ(絵具に混ぜて光沢を出します。)
パンドル
溶き油として使用すると、乾燥が早く、光沢がでます。絵具の粘りもでます。
画面修正バーニッシュ(制作途中で全体の光沢を調整します。)
ルツーセ
ダンマル樹脂をペトロールで溶解したものです。ツヤのばらつきを直すために塗ります。
画面保護用バーニッシュ(完成後に画面保護のために使います。)
タブロー
特殊合成樹脂をペトロールで溶解したワニス。通気性がないので汚れから作品を守ります。
ブランマットリキード
蜜ロウをペトロールで溶かしたワニス。完全乾燥した作品に塗り、全体のツヤを消します。
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剥離剤・クリーナーの主な種類と効果
筆洗液・クリーナー
ブラシクリーナー
石油系の溶剤を精製した筆洗い用溶剤。強溶解性なので、筆の汚れを一度で洗い落せます。
ブラシクリーナーLT
ご使用者様の健康を考慮して、より刺激臭が少なく、低毒性の「ナフテン系主体の石油溶剤」に切り替わりました。
絵具剥離剤
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