商品の説明
作品名:冨嶽三十六景 江戸日本橋 (えどにほんばし)
所蔵・監修:和泉市久保惣記念美術館
デジタル化・ディレクション・制作:株式会社北辰
[額仕様]
・素材:木製
・サイズ:大衣(509×394mm)
・フレームカラー:ブラウン
・ダストカバー:アクリル(1.8mm厚)
[支持体フレスコグラフィックペーパーについて]
フレスコグラフィックペーパーは水性インクジェットプリンター用に開発された素材調の特殊紙です。
従来の印刷(グラビア、オフセット、シルクスクリーン、フレキソなど)と違い、印刷時に生地に接触することなく高精細な画像を印刷することが可能になりました。この特殊紙はその違いに着目し、インク発色性を良くするため、さまざまな工夫を行い生まれました。
フレスコという名称は、このベースがフレスコ壁と素材構成が近いだけでなく、表面のテクスチャーも塗り壁を思わせるような表情であることから名付けています。
[特徴]
・インク面が凹凸のある表面構成だから出来る色彩による奥行き感
・凹凸のある表面構成だから無機質的な文字表現も厚みを持たせることができます。
・グラデーションに深みを与え、より自然な表現ができます。
・無機質の素材で構成しているので、紫外線などの劣化を抑えることができます。
新しい素材との出会いによって生み出される新しい表現
今年、カンボジアの首都プノンペンで行われた世界遺産会議において、世界文化遺産として富士山を含む各地域の登録が決まりました。
日本人の中に古くから象徴として存在する富士山を含む各地域が登録を認められたことを記念して和泉市久保惣記念美術館に所蔵されている葛飾北斎の富嶽三十六景の中から厳選し、新しい技術と新しい素材の組み合わせによって、当時の作品のすばらしさを体感して頂けるものを製作しました。
【和泉市久保惣記念美術館】
昭和57年に久保惣株式会社並びに久保家から、美術品、及び美術館の建物、敷地、基金の寄付を受けて開館した和泉市立の美術館です。
現在の所蔵品は約11000点にのぼります。開館以来、日本、中国を主とした東洋古美術を専門とする美術館として、展覧会や研究などの美術館活動を重ねています。
【富嶽三十六景 作者:葛飾北斎】
役者絵を主流として流行した浮世絵版画の中に19世紀初め風景画としての広がりが生まれました。西洋からの流入した遠近法によって刺激され、風景表現の可能性が高まっていきました。
その中でも注目とされるのが「富嶽三十六景」です。富士山は「不老不死」の象徴とされ、早くから信仰の対象となり縁起の良いものとして捉えられてきました。
この作品は当時流行していた「ベロ藍」ことプルシャンブルーを用いて摺ったことも特色です。「富嶽」は霊峰富士、富士山を指しています。様々な場所、季節、時間を描き分け木版画の視覚表現の魅力がうちだされた作品です。
今回の「富嶽三十六景」の製作には、和泉市久保惣記念美術館のご協力により、所蔵品のポジフィルムから、デジタル化を行い、出力環境、メディアに合わせディレクションを行い、メディアと呼ばれるシートから、自社で制作したオリジナルのフレスコグラフィックスペーパー聚楽メディアのベースを使用しております。
北辰は塗り壁の製造を経て、ホクシンクロスを立ち上げ、塗り壁質感を重んじたシート加工へと進んできました。その技術を応用し生まれたメディアを「フレスコグラフィックスペーパー聚楽」としています。これは、フレスコ画技法の乾式法「フレスコ・セッコ」に近いものと考えられます。
吹き付けて描かれる高精細画像は凹凸を持ち、しかも塗り壁に使用される材料を利用することで、印刷では表現できない質感と木版画で高められた遠近法に色彩のもつ華やかさを加えて、さらに奥行きを持たせ、豊かな表現を実現しています。